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しかし、そうなると国民国家は、市場経済を管理する能力を失うだけでなく、「市場の失敗」する領域を財政が引き受けることによって、社会を統合、維持していく能力をも失う。とはいえ、市場経済を国民経済として管理していく時代は終わっても、グローバル化した世界経済を管理する時代は始まってはいない。ところが、市場経済ではルールの設定に始まり、「市場の失敗」する領域には財政が出動する必要がある。そうした認識にもとづいて国民国家は市場経済を国民経済として規制してきた。そうだとすると、そうした管理する主体のないグローバル化した市場経済は果たして機能していくことができるのかが試されることになる。
本稿では以上のような「国際化」の状況を踏まえ、グローバリゼーションとの関係で地方税のあり方を考察する。つまり、グローバル化した世界経済の圧力に、地方税がどのように対応するかを検討してみることにしたい。
?.戦後の国際経済と地方税
1.ブレトンウツズ体制
第二次大戦後の世界経済の秩序は、ブレトンウッズ(Bretton Woods)体制といわれる。1944年にアメリカのニューハンプシャー州のブレトンウッズにおける合意にもとづいていたからである。しかし、このブレトンウッズ体制は19世紀に成立していた国際金本位制にもとづく自由多角的な世界経済を目指していたわけではなかったのである。
ブレトンウッズ体制は確かに、「自由・無差別・多角的」な世界経済を合言葉にしていた。しかし、ブレトンウッズ体制は第二次大戦中の戦時経済の遺産を継承して、資本統制だけは国民国家の手中に残そうとしていた。つまり、ブレトンウッズ体制は租税負担率の高さと政治的不安定性によって、資本逃避(capital flight)が生じることを押さえ込もうとしていたのである。
このようにブレトンウッズ体制が、資本の自由な移動を国民国家が統制することを認めたということは、生産要素の管理を国民国家の手の中に委ねたことを意味している。土地、労働、資本という生産要素のうち、国土と国民に対する管理権は、国民国家とは領土と領民を条件とするという定義からもわかるように、本来的に国民国家が掌握している。
ところが、資本はそうではない。国際金本位制とは資本(貨幣)を管理する権限を、国民国家には認めないことを意味している。これに対してブレトンウッズ体制が、資本を管理する権限を容認していたことは既に述べたとおりである。つまり、第二次大戦後の国民国家は土地、労働、資本という生産要素に対する管理権限を掌握していたのである。
2.所得再分配機能と経済安定化機能
第二次大戦後の財政は、国民国家が生産要素、とりわけ資本に対する統制権限をもっているということを前提に成立している。しかも、こうした生産要素に対する管理権限を国民国家が握っているが故に、第二次大戦後の財政には資源配分機能だけでなく、所得再分配機能も経済安定化機能も発揮することが可能であると考えられたのである。
というのも、土地や労働に対する課税を強化しても、土地や労働はそれを回避するために移動することは困難である。土地は自由に移動できないし、労働も生活が言語や風習と結びつき、かつ国境管理が行われている以上、自由な移動は困難となるからである。
もっとも、資本に対する課税を強化すれば資本はフライトしてしまう。ところが、ブ
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